本当に効果を感じているか

つぎに瓶の説明に入ります。


「化粧水の瓶は7円から60円のもある。


クリームの瓶は15円くらいから130円ぐらい。」


主婦の1人がたずねます。


「1回つかえば捨てる容器に原価で60円もかけるから高くつくと思うが。」


・・・これに対して


「化粧品が市場における自信というか、実力というか、プレステージということである。


特に外国品がどんどん入ってくるときに日本にも対抗するものがあるんだという、いわゆるプレステージの問題・・・」


主婦「中身でそういう風に対抗するのならいいですけど、外観で対抗するというのはおかしい。」


資生堂「外観においても中身においてもだ。


広告費などより研究開発費の方が大きいくらい。


どちらも5パーセントくらい。」


主婦「高級なお店の方やセールスの方が羊の脂が入っているとか、化粧水の場合は麦の芽のほんとにいいところが入っていて、シワが伸びるとか、いわれるのですが、そういわれるとそうかしらと思ってわからないけれどもつけているんです。」


別の主婦は・・・


「高いのは内容もそうでありますが、なんとなく容器のたのしいものがほしいと思っています。」


本当に効果を感じているか・・・。


これは永久脱毛 などとは違い、とても微妙な問題なのです。


化粧品の原価

ここでアナウンサーは資生堂に聞きました。


「一方は100円、他方は1000円のひらきは何から出てくるのか」と。


その答えは・・・


「原価計算上そうなる。


もう一つは市場における値ごろというものがある。


値ごろにはずれてしまっているのは受け入れられない。


それと原価計算との両方からきまってくるということになると思う。」


・・・ここで、原価計算の話になり、アルコールを指さし、


「アルコールでもこれは特級であれは二級で大分値段がちがうわけです。」


アナ「大分というとどのくらいか。」


資生堂「こちらを100にすると、こちらが94ぐらい」


「コールドクリームとかクレンジングクリームなどにつかっている流動パラフィンも90円くらいと100円、110円と値段がちがう。」


アナ「でもキロで90円と110円ではあまりちがわないのではないか。」


資生堂「香料はピンからきりまである。


これはジャスミン、キロ2万円。


これはキロ45万円、あれはキロ110万円」


アナ「その香料は50グラムのなかにどのくらい入るのか。」


ここで大体0・5パーセントから、多い場合で1パーセント使うという説明がありました。


永久脱毛 を行うようなエステで売られている化粧品にはあまり香料などが使われているものはありませんが、この時代にはまだ"香り"が重要な役目を占めていたのですね。


メーカーの違い

100円化粧品を使っているもう1人の主婦は・・・


「今年の4月から使ったが、どうして安いのか、とパンフレットをみて、なるほど広告費や瓶やその他そういうことで節約されて安くなっていることがわかったが、いまではとてもハダに合っていると思っています。」


アナ「伸びだとか、吸収力だとかはどうか。」


主婦「いままでいろんなメーカーのものを使っていたが、ちっとも変りはない。」


アナウンサーは高い化粧品を使っている主婦に訊きます。


その答えは


「高いのが好きで買ってるのではないが、クレンジングクリームだとか、コールドクリームのように、特にヒフに浸透して、それで汚れをおとしたり、栄養を補給する役目を100円ぐらいの品物ではたせるかどうか、それが疑問なんです。」


・・・別の主婦が発言します。


「私はやはり高級品の方がよいと思う。


つけて伸びが大変よい。


それ1つで、ハダにしみこんでゆきます。」


アナ「それでは、100円だとそんな風にゆかないのですか。」


主婦「まだ100円クリームはつかったことがないが、高級品を買うときは高いなー、もったいないと考えてしまうが、実際使ってみて長くもつ。


ふだんあまり化粧をしないせいか、半年から9カ月ぐらい使える。」


・・・と答えています。


これは永久脱毛 などを行うエステ業界にはあまり関係のない話ですね。

化粧品は値段じゃない

アナウンサーは「100円化粧品はどうですか、と出されたらどうするか」


それに対し


「安かろうわるかろう、とまず考えるが、冒険して一度買ったことがあるが、ただ不安がつきまとった。


ハダがわるくなるんじゃないかしら、市販のものは値段のひらきが大きいが、高いのをつければハダがよくなるんじゃないかと思う」。


・・・これらの主婦の集団の他に、100円化粧品メーカー「セザンヌ」の島田氏、資生堂の小山専務、ヒフ医学者安田利顕氏、化粧品の研究者細田文一郎馬が出場していました。


アナウンサーはふたたび主婦に訊ねています。


「4年前に100円化粧品をつかったが、不安だったので手につけようか、足につけようか、身体につけようか、と迷ったが、冒険的につかってみると、1000円のや2000円のを使ってみて荒れたハダが荒れなくなったんです。


4年目に会った友だちにも、あなた汚なくなったわね、といわれることはなかった。


いまでは自信を持って100円化粧品だけを使っています。」


永久脱毛 などがなかった時代に、このような画期的な番組があったなんて驚きですよね。

「こんにちは奥さん」の発言

まだ永久脱毛 などのなかった昭和40年代・・・


この時代に放送されていたNHKの「こんにちは奥さん」。


この番組は、高級化粧品に対する婦人の考え方に影響を与え、100円化粧品の売行きを大きく伸びさせる転機となったといわれています。


アナ「どのくらいのものをつかっているか。」


主婦A 「私600円から1000円ちょっとくらいのところ。」


アナ「どうしてそれを買ったか。」


主婦A 「化粧品店へゆくと、奥さまこれくらいがいいんじゃないですかと出してきたのでそれを信用して買った。」


・・・高いものを出してきてすすめられるときには、安いものを、というのは勇気が要るという主婦。


別の主婦は1000円のものをいつも買っているが、習慣的にそうしていると答えています。


ハダに合わないクリームにこりて、いまでは自分のハダに合ったものを使っているという主婦に対して、アナのハダに合うというのはどういうことで感じるか、という質問に対し、


「つけて全然刺激のないもの、塗りがよいとか、つけたあと、なにかしっとりした感じ」


・・・などと答えています。


別の主婦に「高いものはよいというような感じは持っているか」と訊ねましたが、


「持っていない、自分のハダに合っていればそれをえらぶ」


・・・と答えています。

夢とムードを買っている

このようなテストはいろいろに解釈できますが、『手帖』はつぎのように整理しました。


「・・・コールドクリーム本来の、ヒフをまもるという働きだけでいうと、肌にさえ合えば、この100円のセザンヌで十分です。


高いクリームは、そのぶんだけ、ヒフが美しくなるというよりは、むしろそのお金で夢とムードを買っているといったほうがよさそうです。


夢やムードが必要ではない、とは決しておもいません。


しかし、女性が一人残らず、そのために高いクリームを買いたがっているともおもわれないのです。


女性は美しくあってほしい。


しかし、愚かであってほしいとはおもいません。


女なんて値だんさえ高ければ、それだけきれいになれるとおもってるんだ、という一種の通説が、いつまでも通用していいのだろうか、という気がするのです。


その意味で、この100円のクリームが出たということは歓迎すべきことでしょう」。


・・・そのようなことを知ると、ごまかしのきかない永久脱毛 のようなスキンケアは本当にいいですよね。

"夢"の量で肌が荒れる・・・

慶応大学の調査はこう結論しています。


「化粧品を買う動機は47・8%が"夢入り"の品質。


価格を問題にする人は9・8%しかいないでしょう。」


・・・1個1000円のせっけんと100円のものの違いをデパートできくと「香料が違う」といいました。


香りは、個人の好みによって違うものです。


・・・にもかかわらず、よい香りは高価だ、高価だからよい香りだ、という理屈が成立っているのが化粧品の世界なのです。


永久脱毛 などのエステ業界とは違い、なかなかむずかしい世界ですね。


しかし、ある医大の皮膚科には、少なくとも1日1人、多いときには3、4人の、化粧品が原因の患者が現われます。


その原因のほとんどは香料であり、種類では栄養クリーム、それも"夢"の量の多いものによる例が目立つそうです。


・・・このようなことを書いた「裸の消費者」は広告についてつぎのように書いています。


"一昨年、化粧品メーカーの使った広告費は総額約200億円。


総出荷額(卸価格)の20%に当る。


普通の企業では広告費の占める割合は3~5%、最大10%が限度である。"


"美しくなる夢"

1本2300円の口紅、1万円の栄養クリーム。


金の粉を入れたと称する3000円のせっけんもあります。


水に流れるとキラキラ光るというのがミソです。


ポーラのショールームでは、1000円のせっけんにはミンクの脂を、600円のには水鳥の脂を使っていると女店員が説明しました。


あの美しい毛皮のミンクやつやつやした羽の水鳥の脂なら、人間のハダをも美しくつややかにするはずだと、真顔で説きます。


ゲラン社は「50歳になっても、30歳のハダを約束します」という若返り化粧セットを、当時1万9500円で売出しました。


若さが「安く」買えるものでないことを女性はよく知っていますから、これだけ「高く」出せば若さが買えるかもしれない、と思うのです。


・・・そうなれば、2万円のセットはもはや、高くはないでしょう。


よくきくから高いという論理の帰結ではなく、高いからよくきくはずだ、という心理からの回答です。


マックスファクターの宣伝マンは


「化粧品の高級化はムードとイメージの演出です。


"美しくなる夢"のはいっている量によって品質がきまります」


・・・と割りきっていました。


永久脱毛 などではこのようなごまかしは効かないものなので、わたしはひたすらエステに通っています。

何で判断してる?

コールドクリームのよしあしをいうときには、つけた具合・・・


つまりベトつくかどうか、しみこんでゆく具合はどうか、あとの感じはどうかといったことのほかに、香りということも、非常に大きなキメ手になっています。


ところが、この香りの感覚さえも、瓶やレッテルによって判定をあやまらされています。


これは永久脱毛 などを行うエステ業界では聞かない話ですが、化粧品業界ではよくある話なのです。


たとえば、例の×のクリームでは、その香りが好きだという人はたった1人で、まあまあね、という人が6人、どうしてもきらいだという人が3人もいました。


それが、ポンズの瓶に入っていると、半数の5人までが判定を変えて、好きだという人が2人になり、まあまあね、が7人になり、どうしてもきらいだ、という人はたった1人になってしまいました。


そして、『手帖』は、


「これからみても、名の通った、つまり宣伝の行きわたった銘柄は、つい中身までいいようにおもう人が少なくないし・・・


逆に、あまり聞いたことのない銘柄で、見てくれの大してよくない容器に入っていると、どうしても中身まで大したことはないとおもわれがちなものです」


・・・と書いています。


さて、ここで×の正体は「セザンヌ 100円 120グラム」。


1グラム当り83銭で資生堂の10分の1、マックスファクターの5分の1、ポンズの4分の1です。

容器で買う化粧品

この4つのコールドクリームについてもう一つの実験をしています。


こんどは瓶に入れたままのクリームを、同じ10人の人につけてもらいましたが、これには、ちょっとからくりがあって、なるほど瓶には入っていますが、その瓶と中身は入れかえてあったのです。


資生堂の瓶にポンズ。


ポンズの瓶にマックスファクター。


マックスファクターの瓶に資生堂・・・


こんな風に、中身を入れかえ、そしらぬ顔で、よいわるいの点数をつけてもらったというわけです。


結果は、つぎのとおりになったそうです。


数字はよいといった人の数。


資生堂 7人


ポンズ 6人


マックスファクター 4人


××(匿名) 4人


これを、中身だけでテストしたときとくらべてみると、よいといった人の数は、資生堂が数人ふえ、ポンズが2人ふえ、×は3人ふえマックスファクターは1人へりました。


・・・どうしてこんなことが起ったのでしょうか。


前のテストと、こんどのテストは、もちろん中身は同じ。


・・そうだとすると、結局入っていた瓶、レッテルによって、多少なりとも、判定がぐらついたと見るより仕方がないでしょう。


具体的にいうと、たとえば×のクリームが一挙に3人もふえたのは、ボンズの瓶に入っていたからでしょう。


逆に、マックスファクターが1人減ったのは、あまりなじみのない×の瓶に入っていたからでしょう。


これらのことは永久脱毛 などを行うエステ業界にはあまり見られない現象です。